~ITコンサルタント養成講座~
第29回「サプライチェーンマネジメント―1」
皆さん、こんにちは! 当メルマガを担当しています井上正和です。このメルマガは
シリーズになっており、今回はその第29回です。
今回は「サプライチェーンマネジメントー1」として、サプライチェーンの用語と基礎知
識を取り上げます。
サプライチェーンとはメーカーの例を引きますと、「サプライヤー(仕入先)からの材料が
顧客に商品が渡るまでの物の流れの連鎖」のことをいいます。この物の流れの連鎖におけ
る物の管理、すなわちものの流れの連鎖における在庫の管理を適切にするための管理がサ
プライチェーンマネジメント(=SCM:Supply Chain Management)です。
それでは、サプライチェーンマネジメントの概念の中でもっとも重要な「サプライチェー
ンにおける在庫」から話を進めていこうと思います。
(1)
サプライチェーンの在庫
メーカーを中心としたサプライチェーンの在庫を捉らえてみますと、
① サプライヤーから購入した工場の倉庫での「材料や部品の在庫」、
② 工場の生産工程における加工や組み立て途中の「仕掛品在庫」、
③ 工場では完成し、出荷待ちをしている「製品在庫」、
④ 販売店へ仕分け・配送するために物流倉庫にある「商品在庫」、
⑤ 顧客が商品を購入してくれるまでの「販売店在庫」
以上、大きく分けて5拠点での在庫が存在しています。これらの在庫拠点をSCMでは「ノ
ード」といいます。
では、“このノードにあるこれらの在庫をなぜ管理する必要があるのでしょうか?”です。
その答えは、この在庫の管理を行うことが顧客価値を高めることになるからなのです。
(2)顧客価値を高めるとは
在庫を減らすということは、時期を逸した不良在庫が少なくなることを意味します。
通常、ビジネスにおいては利益を上げることを目的としますので、販売価格は消却する
ことになる不良在庫の金額を考慮して設定されますから、その不良在庫の分の販売価格
が上昇することになります。
ということは、在庫を減らせば、顧客に提示する販売価格を低く抑えることができ、顧
客の価値を高めることができることになります。このことはサプライチェーに関係する
全ての企業の事業価値を高めることにもなります。
(3)事業価値も高めるとは
在庫が減るということは余分な材料や部品の購入や製造する人件費や経費などを費やす
必要がないわけですから、無駄なお金を使わなくて済むことになります。在庫が減った
分だけ自由に使えるキャッシュが残ることになります。
したがって、サプライチェーンを実施している側もキャッシュフローの増大という事業
価値を向上することができることになります。サプライチェーンマネジメントが別名「キ
ャッシュフロー経営」と称されるのはこの観点があるからです。
在庫が減れば顧客価値、事業価値共に増大することは分かりましたが、
“どうやれば在庫が減るのでしょうか?”
(4)在庫を減らすには
在庫ができる原因を単純化しますと、ノードからの出庫スピードが入庫スピードより遅
いとそのスピードの差が在庫として蓄積されます。
そうしたら、在庫をなくすにはこのスピードの差を無くせば良いことが分かります。
多くのノードから構成されるサプライチェーンのスピードもこのノードの出庫スピード
で決まります。もっとも遅いノードのスピードに制約されるわけです。
ゴールドラット博士はこの制約を「TOC(=Theory Of Constraint:制約理論)」と
名づけました。このTOCはもっとも遅い出荷ノードに合わせるとすべてのノードの在庫
は理論的にゼロになることになります。
これは「DBR(=Drum Buffer Rope)理論」と表現されています。丁度、子供たち
がロープを使い、ムカデ競争をするときのようにドラムの音に合わせれば、倒れずに進
めるように、最も遅いノードに合わせて出荷すれば在庫をゼロにすることができること
になります。
それは分りましたが、単に在庫を最小にするだけではビジネスになりません。顧客の需
要が高いときには多くの商品を供給しお互いの価値を高めなければなりません。
そのためには、顧客や市場の情報を的確に把握して対応することが必要です。これを「デ
マンドチェーン」といいます。
(5)デマンドチェーンで市場に対応する
顧客や市場の需要をもっとも早く掴めるノードは販売店です。販売店は在庫が不足しそ
うになるとメーカーにオーダーし、メーカーは工場に生産指示を出します。工場は不足
の材料や部品をサプラーヤーにオーダーします。このような手順を踏んで、在庫不足の
情報は顧客からサプライチェーンの上工程へと流れます。
この伝言ゲーム的な情報の流れは問題が生じることになります。
それは各ノードに伝わる時間のズレと各ノードにある企業や部門での需要予測のズレで
す。顧客需要が低下したときに供給が大きくなる可能性がでてきます。
このズレを「ブルウイップ効果(=Bull Whip)」といいます。ブルとは牡牛、ウイップ
とはムチです。カーボーイが牛を追うときに使用するムチで、手元で小さく振れば、先
の方は大きく振れます。このムチの動きに似たところからこの呼称がつきました。
このズレによって、ノード間のスピードが変化し、在庫が生じることになります。
このズレを無くすには、全てのノードが顧客や市場の需要変化を同時期に把握できるよ
うに情報共有化することしかありません。
第29回はここで終了します。
今回はサプライチェーンの用語と基礎知識をまとめました。
次回は、SCMの応用としてのキャッシュフロー経営の作り方に焦点を当てた「サプライチ
ェーンマネジメント-2」を取り上げます。
ISMリサーチ代表 井上正和
http://www.ism-research.com/
グローバルナレッジネットワーク(株)経営関連およびITC講座担当講師
http://www.globalknowledge.co.jp/reference/Reference.asp?KBN=2&DCODE=21
(株)富士ゼロックス総合教育研究所 ITコンサルタント講座担当講師
http://www.itc-pro.com/multi/gaiyou3.html
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