~ITコンサルタント養成講座~
第44回「ITガバナンス-その3」
皆さん、こんにちは! 当メルマガを担当しています井上正和です。このメルマガはシリーズになっており、今回はその第44回です。
前回は「ITガバナンス-その2」と題して、ITガバナンスの3つの要素の中の2要素「5つのIT資源」、「4つの管理プロセス」を取り上げました。今回は、残りの1要素である「7つの情報規準」とITガバナンス力を向上するための「IT成熟度」を取り 上げます。
(1)「7つの情報規準」
7つの情報規準に入る前に、“情報システムの目標とは何か”を考えてみましょう。
“売上高向上や利益高向上は情報システム化の目標になりえるでしょうか?”
情報システムは売上高や利益を向上するための有効な情報を提供することは出来ますが、この情報に基づいて行動し、売上高や利益を向上する活動は経営活動ですので、経営目標(=ビジネス目標)のはずです。経営目標の達成は経営の管理活動としての目標のようです。
これに対して、情報システムの目標は収益向上を図る有効な情報の提供が目標となります。
また、情報化はよくコスト削減を目標にします。それは、人手による情報加工や伝達作業をIT化し、これらの作業が今まで10人必要であったものを1人で済ますことが出来るようにすることを指します。この場合、コスト削減金額はビジネス目標ですが、1/10の人手で出来るようにする効率化は情報システムの目標となるわけです。ここでも同様に、ビジネス目標を達成するには経営管理としての経営者や管理者の対処に依存することになるわけです。
ITガバナンスでの情報システム化する目標の捉え方はビジネス目標でなく、情報の「有効性」、「効率性」、「機密性」、「完全性」、「可用性」、「準拠性」、「信頼性」の7つを情報化の目標として設定すべきであるとしました。これを7つの情報規準といいます。
◆「有効性」とは経営判断や業務遂行にとって有効な情報を提供する目標です。
要求に沿った内容を最適なタイミングで届けることを意味します。
◆「効率性」とはより少ない要員で業務を遂行できる目標です。
10人での作業を5人で可能にする情報化はこの目標となります。
◆「機密性」とは必要な人が必要な情報をアクセスし、提供されるための目標です。
◆「完全性」とは正確なデータが確保・維持されるための目標です。
◆「可用性」とは使い勝手を良くするための目標です。24時間365日稼動なども目標の1つです。
◆「準拠性」とは顧客との契約などの商取引、税法などの法令に遵守する目標です。
◆「信頼性」とは準拠性を確実に守っていることを示すための目標です。
情報システムの目標はこの7つの情報規準を計数的に設定することで適切な目標と
なります。
(2)IT成熟度
企業経営においてビジネス目標が現在より高い目標に設定されますが、この目標に沿って、情報化の目標も高い目標が設定されることになります。
この目標を達成する活動はITガバナンスの3要素で捉えますと「4つの管理プロセス」です。
すなわち、業務のしくみとそれを動かす人がその目標を達成するわけですから、その能力を高めることが必要になります。これをIT成熟度といいます。設定された情報化目標に従って、IT成熟度を高める対策が必要になってきます。
IT成熟度はIT化および運用の業務管理レベルを5段階でその成熟度レベルを表します。
◆成熟度レベル1:「初期化された」とその業務管理レベルを表現します。情報化や
運用に関する課題は組織として認識しているが、問題が発生する都度個別に対応している状態。
◆成熟度レベル2:「反復できる」とその業務管理レベルを表現します。情報化や運
用に関する課題は組織として認識し、その対応組織も作られている。しかし、文書化や研修がなく対応能力は個人に依存している状態。
◆成熟度レベル3:「定義された」とその業務管理レベルを表現します。業務のプロ
セスが定義され、文書化され、対象の社員には周知徹底でき、指示通り実施されている。ただし、その成果の正式なレビューのしくみがない状態。
◆成熟度レベル4:「管理された」とその業務管理レベルを表現します。成熟度レベ
ル3に加え、定期的なレビューと改善のしくみのもとに継続的なプロセスの改善と改定が行われる状態。
◆成熟度レベル5:「最適化した」とその業務管理レベルを表現します。改善に対す
る企業方針がより各個人に浸透し、個人レベルでの絶え間ない継続的なプロセスの改善と改定が行われる状態。たとえば、トヨタのカンバン方式のように年間60万件の改善提案があり、95%採用されるような改善レベルに相当します。
情報システムを活用するにはIT成熟度はレベル3が必須といわれています。経営戦略に有効な情報システム活用を図るとすれば、IT成熟度レベル4が必要です。このレベルでITガバナンスのしくみが完成することになります。
第44回はここで終了します。今回はITガバナンスでの情報化目標である7つの情報規準とそれを達成するためのIT成熟度を取り上げました。
次回は、「ITガバナンス-4」でITガバナンスとしての企業システムの形態を取り上げます。
ISMリサーチ代表 井上正和
http://www.ism-research.com/
グローバルナレッジネットワーク(株)経営関連およびITC講座担当講師
http://www.globalknowledge.co.jp/reference/Reference.asp?KBN=2&DCODE=21&SCODE=17
(株)富士ゼロックス総合教育研究所 ITコンサルタント講座担当講師
http://www.itc-pro.com/multi/gaiyou3.html
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