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  • 第88回「事業定義-2 事業の選定」

    ~ITコンサルタント養成講座~

    第88回「事業定義-2 事業の選定」
    皆さん、こんにちは! 当メルマガを担当しています井上正和です。このメルマガはシリーズに
    なっており、今回はその第88回です。
    75回で紹介させていただきましたが、74回まで配信しました経営戦略と情報戦略の知識を用いてITベンダーのITコンサルとして戦略策定を指導するプロセスをストーリーとして組み立てていきます。私の立場は悩みと工夫のITコンサルタントです。

    プロジェクトチームの事業部長の山田氏、営業課長の中川氏、SE課長の上野氏との対話で進めていきます。
    メンバーはすべて当メルマガの愛読者の方々です。ただ、実践は初めてです。
    今日は事業ドメインの定義です。“コアコンピタンスに裏打ちされた想定ビジネスをどのお客や市場へ提供できるのか”が検討事項です。事業の絞込みと選定が焦点です。
    中川氏:さて、コアコンピタンスを活かした想定ビジネス「webサイト設計・構築ビジネス」と「IDC
    サービスビジネス」が出てきました。しかし、このビジネスの売り先を見つけることが必要
    ですね。
    山田氏:そうそう。売れるお客は既存顧客か、新規顧客か。そのニーズは?などなど、
    その辺が明確にならないと、事業の可能性が見えてこないのですよね?
    私 :そうですね。事業ドメインとは事業できる領域のことですから、売り先としての顧客とニーズを設定することが必要になります。今後のコアコンピタンスは企業の能力育成の可能性を判断できますが、この顧客とニーズの設定は市場開拓の可能性を判断できます。
    上野氏:どういうことですか? 新規顧客と既存顧客の観点で事業の可能性が変わるということですか。
    私 :そうなんです。
    たとえば、新しい業務パッケージを開発したとしましょう。既存顧客ですと、少なくとも話は聞いてくれるでしょうが、新規顧客ですと訪問の約束すら取れないかもしれません。すなわち、既存顧客に比して新規顧客ですと、新たに販売仕組みや要員のコアコンピタンス育成に多大な投資が必要になってきます。
    中川氏:商売のネタとしての想定ビジネスが出来ても、売りやすい顧客とそのニーズが組み合わないと事業としては成り立たないということですね。
    山田氏:事業は想定ビジネスとしての「商品やサービス」、売り先としての「顧客」、「そのニーズ」の組み合わせで定義にないと事業の成功可能性が見極められないということか。
    私 :その通りですね。したがって、この組み合わせを事業ドメインとして定義するわけです。
    それでは、今検討している「ポータルサイト構築事業」の顧客とそのニーズを設定して
    みましょう。
    中川氏:機械、電気の大手3社が既存客としてありますが、ポータルサイトを持つニーズよりホームページ整備の方がニーズとして強そうですね。
    約50社の中小・中堅企業も同様でしょう。CATV局は可能性がありますね。新規事業展開が必要な状況ですし、生活者と密着していますので、企業からの広告やテナント依頼がありそうですね。
    山田氏:とすると、CSF「企業と生活者を結ぶポータルサイトの構築」に対する事業定義は「CATV局を中心とした顧客の新規事業展開のニーズに対し、ポータルサイト構築コンサルティング、Webサイト設計ビジネス、IDCビジネスで収益を上げる事業」ということになりますか。
    現在、見込みの顧客1社でコアコンピタンスの育成も困難そうですね。
    上野氏:そうですよ。この事業は時流ではあるのですが、今後のコアコンピタンスの “ブランドを付けるためのビジネスモデルの構築スキルを如何に取得するか”が重要です。
    そう簡単にはこのスキルを付けることは出来ませんね。
    私 :事業の優先度は事業収益の成長を示す「成長性」、販売領域の広さを示す「市場の大きさ」と「成功度」を示すコアコンピタンスの観点で見ていけばよいのですが、その観点ではいかがですか。
    上野氏:この「ポータルサイト構築事業」は他の定義された事業「IT販売・サービス事業」や
    「ERP構築事業」等に比べると「成功度」の観点で優先度が低くなってきます。
    これは事業として成り立たないかもしれませんね。止めましょうか。
    中川氏:ちょっと待って、そんなに簡単に止められてはもったいない。なぜなら、今後のコアコンピタンスである「ビジネスモデル構築スキル」をはずせば、他のビジネスは現有の体力でも十分可能性があります。せっかくコアコンピタンスもありますが、
    山田氏:この事業の現有のコアコンピタンスはITインフラの販売・導入事業である「IT販売・サービス事業」に組み入れたビジネスとして捉えるとシナジー効果をもって事業価値が上がりそうですね。
    CSF「企業と生活者を結ぶポータルサイトの構築」は当事業部で独立の事業として実施するには事業体力としてムリですね。
    私 :どうやら結論が出たようですね。コアコンピタンスを活かして現有の事業にシナジー効果をもたらす方向で事業をまとめてよいと思いますよ。
    山田氏:よし!! 事業は現事業にシナジーを活かした「IT販売・サービス事業」と当事業部には新規事業になるが、本社で実績のある「ERP構築事業」の2つに絞って経営計画作りに進もう。
    上野氏:事業定義が出来たら、次のステップは「事業施策」作りでしたか?
    第88回はここで終了します。今回は「事業の選定」の討議でした。
    次回は、事業施策を策定するための最初のテーマに「経営施策策定-1 バランススコアカードとは?」として取り上げます。

    ISMリサーチ代表 井上正和
    http://www.ism-research.com/


    (後記)今、EA(Enterprise Archtecture)を使った電子政府の最適化の計画に参加しています。現状分析の段階ですが、驚きましたことはここで使用されている手法がITCプロセスで紹介された手法の応用版なのです。SWOT、BSC、DMM、DFD、ERD、UMLなどすべてが使われています。
    EAは電子政府の情報システム設計のガイドラインとして策定されていますが、一般の企業にも(大手企業ですが)普及し始めているようです。
    興味のある方は経産省作成のEA設計のガイドライン「業務システム最適化計画ガイドライン」を下記のURLで参照してみてください。
    → http://www.e-gov.go.jp/doc/20050202doc.pdf


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    グローバルナレッジネットワーク(株)経営関連およびITC講座担当講師
    http://www.globalknowledge.co.jp/reference/Reference.asp?KBN=2&DCODE=125&SCODE=17
    (株)富士ゼロックス総合教育研究所 ITコンサルタント講座担当講師
    http://www.itc-pro.com/multi/index.html

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